公開:2026年6月

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IBD患者さんへの医療費助成制度

医療費負担を軽減するための支援制度について解説します。

公開:2026年6月

IBD患者さんが受けられる医療費助成制度

医療費軽減のための各種制度

潰瘍性大腸炎やクローン病といった指定難病の多くは、病気の原因がはっきりしておらず根本的な治療法が確立していないため、患者さんは長期にわたって治療を継続する必要があり、医療費負担が大きくなることがあります。そのような高額な医療費負担を少しでも軽減するための主な支援制度として「高額療養費制度」や「難病医療費助成制度」があります。

●高額療養費制度

⾼額療養費制度は、ひと⽉(1⽇から末⽇)に医療機関や薬局等での⾃⼰負担額が、年齢や所得に応じて定められた自己負担限度額を超えた場合、限度額を超えた分の金額が払い戻される制度です。高額療養費制度は健康保険に加入していれば、難病の治療以外でかかった医療費についても対象になります。ただし、保険適用外の医療費(レーシック治療やインプラント治療などの自由診療)や入院時の食費、差額ベッド代、先進医療にかかる費用は対象外です。

高額療養費制度は以下で解説する難病医療費助成制度と併用することができます。併用する場合は、まず高額療養費制度が適用されます。その後、高額療養費制度を適用したあとの自己負担額について難病医療費助成制度が適用されます。

なお、高額療養費制度の自己負担額や申請方法などについては、以下のサイトにて詳しく解説しています。

キャンサーinfoナビ「医療費が高額になったときの高額療養費制度について

●難病医療費助成制度

難病医療費助成制度は、指定難病と診断された患者さんのうち、それぞれの疾患ごとに定められた「重症度分類」に照らした症状の程度が一定以上の場合、医療費助成を受けられる制度です。ただし、症状の程度が疾病ごとの重症度分類に該当しない軽症患者さんの場合でも、高額な医療を継続する必要がある場合は助成を受けることができます(軽症高額該当)。
医療費助成の支給認定を受けるには、都道府県または指定都市に申請を行い、特定医療費(指定難病)受給者証(以下、医療受給者証)の交付を受ける必要があります(申請方法については医療費助成の支給認定を受けるには?で解説)。

以下で、難病医療費助成制度について詳しく解説します。

難病医療費助成制度における自己負担上限額

難病医療費助成制度では、指定難病の治療にかかった医療費に対し、支給認定を受けた患者さんの自己負担額は2割に設定されています。また、世帯(同じ医療保険に加入している人の範囲)の収入に応じて、自己負担上限額が適用されます(図1)

※すでに2割負担または1割負担の適用を受けている場合は変更なし

【図1】難病医療費助成制度における自己負担上限額(月額)

難病医療費助成制度における自己負担上限額(月額)

参考:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」をもとに作成

難病医療費助成制度における特定医療費(指定難病の治療に対する医療費助成)の支給に当たっては、医療保険、介護保険による給付が優先されます(保険優先)。70歳未満の患者さんの場合、通常、医療機関の窓口では医療費の7割を医療保険が負担し、残りの3割を患者さんが負担していますが、特定医療費の支給認定を受けた場合、難病指定医療機関(都道府県知事などによって指定を受けた、病院、診療所、訪問看護ステーションなど)での窓口負担が、自己負担上限額(月額)までになります。ただし、自己負担上限額と医療費2割負担を比較した際に、自己負担上限額の方が上回る場合は、医療費の2割が患者さんの負担額になります(図2)。

【図2】指定難病に対する医療費助成の自己負担の考え方

指定難病に対する医療費助成の自己負担の考え方

参考:厚生労働省「難病の患者に対する医療等に関する法律の概要」をもとに作成

自己負担上限額管理票による自己負担額の管理方法

難病医療費助成制度の自己負担上限額は、受診した複数の難病指定医療機関での定率負担(利用者負担)合算額に適用されます。そのため患者さんは各難病指定医療機関等を受診するたびに、医療受給者証とともに「自己負担上限額管理票」を受付に提出し、かかった医療費を記載してもらう必要があります。複数の難病指定医療機関での1か月の自己負担累積額が自己負担上限額に達した時点で、その月にそれ以上の支払いはなくなります(図3)。

なお、自己負担上限額管理票に記載されていない医療費は助成対象にならないため、受診の際は忘れずに提出しましょう

【図3】自己負担上限額管理票の記入例

自己負担上限額管理票の記入例

※「自己負担上限額管理票」の様式は都道府県等ごとに設定されています。上記の記入例は、厚生労働省「特定医療費に係る自己負担上限額管理票等の記載方法について」をもとに作成。

医療費助成の開始時期

これまで難病医療費助成制度では、医療費助成の開始時期を「医療受給者証の交付申請日から」としていました。しかし、2023年の難病法の改正に伴い、同年10月1日から指定医が重症度分類を満たしていることを診断した日までさかのぼって助成開始時期を前倒しできるようになりました(図4、5)。ただし、さかのぼることができる期間は原則申請日から1か月です。診断書(臨床調査個人票)の作成に期間を要した、症状の悪化等により申請書類の準備や作成に時間がかかったなどの、やむを得ない理由がある場合は最長3か月まで延長されます。最長3か月のさかのぼりを希望する場合は、特定医療費(指定難病)支給認定申請書に希望する助成開始日(診断年月)を記載し、申請が遅れたことに対するやむを得ない理由について、申請書の所定欄にその理由を記入します。原則としてさかのぼりの適用を受けるために、追加で証明書等を提出する必要はありません。

なお重症度分類を満たしていない軽症高額対象患者さんの場合でも、申請月以前の12か月以内に、その治療に要した医療費の総額が33,330円を超える月が3か月以上ある場合は、医療費助成の対象となります。その場合、医療費助成の開始時期は、「その基準を満たした日の翌日」からとなります。

【図4】 医療費助成の開始時期

医療費助成の開始時期

参考:厚生労働省「指定難病と診断された皆さまへ 助成開始時期を前倒しできます」をもとに作成

【図5】医療費助成開始日の具体例

医療費助成開始日の具体例

参考:神奈川県「難病のしおり」をもとに作成

「軽症⾼額該当」と「高額かつ長期」

難病医療費助成制度では、症状の程度が疾患ごとに設けられた重症度分類に該当しない軽症の患者さんであっても、高額な医療の継続が必要である患者さんについては、医療費助成を受けることができます。これを「軽症高額該当」といいます。

難病医療費助成制度の申請を行う月から12か月前までの間に、指定難病の治療にかかった医療費の総額が、33,330円を超える月が3回以上ある場合、軽症高額該当となります(図6)。ただし、この33,330円には入院時の食事代は含まれません。

※①申請を行う月から起算して12か月前の月、または②支給認定を受けようとする指定難病の患者さんが、当該指定難病を発症したと難病指定医が認めた月を比較して、いずれか後の月から申請を行う月までの期間。

なお、軽症高額該当の申請対象になるまでの間に医療費が高額になった場合は、高額療養費制度によって医療費負担を軽減することができます。

【図6】軽症高額該当の例

軽症高額の例

参考:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」をもとに作成

また、難病医療費助成制度における自己負担上限額で、「一般所得Ⅰ・Ⅱ」、「上位所得」に該当する患者さんが高額な医療を長期的に継続する場合、軽減された自己負担上限額が設定されています。これを「高額かつ長期」といいます。指定難病の治療にかかるひと月ごとの医療費の合計が50,000円を超える月が、申請を行う月から12か月前までの間に6回以上ある場合、高額かつ長期に該当します(図7)。申請後は、図1で示した自己負担上限額の「高額かつ長期」の自己負担額に軽減されます。

なお、小児慢性特定疾病医療費助成制度から難病医療費助成制度へと移行する患者さんの場合、小児慢性特定疾病医療費の実績も回数に含まれます。

【図7】高額かつ長期の例

高額かつ長期の例

参考:難病情報センター「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」をもとに作成

用語辞典で以下の用語について確認してみましょう。