クローン病 Chrohn's disease
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日常のケア

日常生活のケア

クローン病は基本的には、一生お付き合いしていく病気です。このような話をすると、ショックを受けてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には多くの患者さんが寛解期(症状の軽い時期)を維持しながら、ほかの人とあまり変わらない社会生活を送っています。
クローン病は適切な治療や検査を受けていくことで、これまで通りの生活を送ることが十分に可能です。しかし、いくつかの点については注意や改善が必要になるかもしれません。

■食事

クローン病は潰瘍性大腸炎よりも食事や生活習慣が大きく影響し、薬物治療の効果にも影響を及ぼすと考えられています。

活動期(症状が重い時期)、とくに激症・重症期には、下痢や腹痛を避けるために「腸を休める」ことを基本的な考え方とし、絶食や経静脈での栄養補給(栄養療法)が必要となることもあります。軽症~中等度では、経口での食事が可能になりますが、栄養療法の継続が必要な場合もあります。

寛解期(症状が軽い時期)には、栄養バランスのよい食事を摂ることを心がけてください。低脂肪・低残渣(繊維分が少ないこと)の食事がすすめられます。

食事による影響は個人差が大きいので、医師は患者の状況をよく調べ、話し合い、食事指導を検討することになります。暴飲、暴食は避けてください。香辛料などの刺激物も控えてください。

■飲酒

一般的にアルコールは腸の粘膜に悪影響をおよぼしますので、クローン病の症状を悪化させるおそれがあります。ただし、寛解期であれば、少量の飲酒は問題ないでしょう。

■喫煙

喫煙は、クローン病を発症するリスクを高めることが知られています。また、発症した後でも、喫煙者は非喫煙者よりも手術を受けざるを得なくなるほどに進行するリスクが非喫煙者よりも4倍あると報告されています。喫煙者の方は、禁煙をするようにしてください。

■におい

クローン病の患者さんのなかには、便のにおいを気にする人もいます。食事の内容を見直し、腸内細菌を正常化することで便臭を抑えることができます。

実際には、患者さんご本人が気にするほど、周囲の人はにおいを感じないものです。しかし、どうしても気になる場合には、消臭パッドや消臭下着を利用するとよいでしょう。

■口腔ケア

クローン病の患者さんは、虫歯で悩んでいる人が多いといわれています。虫歯の予防には、原因となる歯垢がたまりやすい歯の溝や歯と歯の間をていねいにブラッシングすることがすすめられます。定期的に、歯科医院で口腔ケアをするのもよいでしょう。

■肛門ケア

排便後にトイレットペーパーで強く拭くと、肛門周辺の皮膚が傷ついてしまいます。温水シャワーで肛門を洗うようにしましょう。びらんができている場合には、適切な処置が必要になることもありますので、担当医の指示をよく聞いてください。

生活サポート

進学や就職

クローン病は比較的若い年齢で発症するため、発病後に進学や就職の時期を迎える患者さんも少なくありません。ストレスはこの病気の症状を悪化させることが知られていますので、日々、ストレスをなるべくためないようにしていくことが大事です。

妊娠・出産

基本的には、クローン病と診断されても、妊娠・出産に問題はありません。実際のところ、主治医の指示で適切な治療と検査を続け、再燃させないようにすることによって、多くの患者さんが妊娠・出産しています。

妊娠・出産中の薬物療法については、ほとんどの治療薬に大きな問題はなく、妊娠していないときと同様の治療を行うべきだと考えられています。しかし日本では、妊娠中の薬物治療はできるだけ慎重に行うほうがよい、と考える医師が多いようです。日本でも海外でも、5-ASA製剤、抗TNF-α抗体製剤は比較的安全だと考えられています。一方で、妊娠中、授乳中には投与しないほうがよい、と考えられている薬剤もありますので、主治医と相談しながら治療を進めることになります。

男性についても同様で、病気やその治療が原因で、妊娠・出産に悪い影響が出ることはほとんどありません。

周囲のサポート

クローン病は、原因がまだはっきりせず、根本的な治療法がないことなどから、体だけでなく心にも悪影響を及ぼすことが知られています。とくに活動期には、仕事や日常生活、将来についての不安が高まるという指摘もなされています。したがって、周囲の人々のサポートが重要になります。

患者さん本人だけでなく、家族や友人も、クローン病と診断されても、寛解期であれば健康な人と同じように生活することができ、進学や就職、結婚も可能であることを知る必要があります。同時に、どのような症状があり、どのようなことに悩まされているのかということを知ることも大切です。

クローン病という病気を正しく知ることが、患者さんへの理解とサポートにつながります。

また、病気についての理解を深めるためには、患者さんや家族を対象にした講演会や患者会に参加することも役に立ちます。病気やその治療についての知識や情報が得られるだけでなく、多くの患者さんが自分と同じ病気とたたかっていることを知るのにもよい機会です。心理面での安定を得られることも多いことでしょう。