公開:2021年9月28日
更新:2024年10月

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IBDとは

炎症性腸疾患のことで、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病のことを指しています。

監修:名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部 准教授 中村 正直 先生

公開:2021年9月28日
更新:2024年10月

監修:名古屋大学医学部附属病院 消化器内科
講師 中村 正直 先生

日常のケア

日常生活における注意点

基本的に潰瘍性大腸炎は、一生お付き合いしていく病気です。そのため、日常生活にどの程度の制限がかかり、どういった点に気をつければよいか、気になる方も多いのではないでしょうか。

実は、潰瘍性大腸炎になっても、日常生活をそれほど大きく制限する必要はありません。活動期(症状が出ている時期)には少し注意すべきポイントがありますが、寛解期(症状の落ち着いている時期)であれば、ほぼ普段通りに生活することが可能です。
ただし、寛解期であっても、十分な睡眠をとる、過度な疲労やストレスを溜め込まないといった、基本的な生活習慣は守る必要があります。

◯食事
寛解期であれば、とくに食事制限は必要ありません。ただし、バランスのよい栄養摂取を心がけること、暴飲暴食を避けることといった基本的な注意を行うことが求められます。ただし、特定の食品を食べると下痢をするなど、もし、自分の体に合わない食品があるときは、避けるようにしてください。

活動期は、腸が弱った状態になっているため、腸に優しい食事を心がけましょう。具体的には、消化の悪い、繊維質の多い食品や脂肪分の多い食品、香辛料などの刺激物を避けることが大切です。

◯飲酒
食事と同様に、寛解期であれば適度の飲酒は問題ありませんが、活動期の場合は、腸の刺激になるため控えるようにしましょう。

◯肛門ケア
活動期では、どうしてもトイレに行く回数が増えることがあります。その際、排便後に何度もトイレットペーパーで拭くと、肛門周辺の皮膚が傷ついてしまいます。できるだけ温水シャワーで洗うようにしましょう。よく行く外出先などでは、温水洗浄便座付きトイレがどこにあるか、探しておくとよいかもしれません。

治療の継続が何より大切です

潰瘍性大腸炎をコントロールし、病気ではない人たちと同じように生活していくためには、寛解期であっても油断せず「しっかり通院し、治療を継続すること」が何より大切です。また、急に調子が悪くなったり、お尻の拭きすぎで肛門周辺がただれてしまったようなときには、できるだけ早く主治医に相談し、適切な治療を行う必要があります。

潰瘍性大腸炎の治療は常に治療効果や状態を確認しながら、主治医と二人三脚で行うものです。定期受診を欠かさず、気になることは主治医と相談しながら治療を進めること、それが一番のセルフケアに繋がります。

参考

難病情報センター (外部リンク)

『潰瘍性大腸炎の診療ガイド 第4版』(NPO法人日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編/文光堂)