公開:2021年9月28日
更新:2024年10月

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IBDとは

炎症性腸疾患のことで、一般的には潰瘍性大腸炎とクローン病のことを指しています。

監修:
東京科学大学大学院医歯学総合研究科消化器連携医療学 准教授
東京科学大学病院 消化器内科
潰瘍性大腸炎・クローン病先端医療センター 副センター長
藤井 俊光 先生

公開:2021年9月28日
更新:2024年10月

監修:東京科学大学大学院医歯学総合研究科消化器連携医療学 准教授 東京科学大学病院 消化器内科 潰瘍性大腸炎・クローン病先端医療センター 副センター長
藤井 俊光 先生

IBDの疫学

IBDの患者数

潰瘍性大腸炎もクローン病も、アメリカやヨーロッパなどの先進国に多い病気です。日本でも、調査研究が始まった1970年代後半から近年までの間に、IBDの患者数は急激に増えており、食生活の欧米化が1つの要因ではないかと言われています。

患者数の目安となる「特定医療費(指定難病)の医療受給者証および登録者証の所持者数」でみると、潰瘍性大腸炎の場合、調査開始時の1975年時点で965人だったものが、2014年には17万781人まで増加しています。2018年には12万4,961人、2020年には14万574人、2022年には14万1,387人とピーク時に比べ減少しているようにもみえますが、これは2015年1月以降医療受給者証の認定基準が変更になったためで、実際の患者数は依然増加傾向にあります。
厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」が2014年度に行った調査では潰瘍性大腸炎の患者数は約22万人と報告されています。

一方、クローン病の医療受給者証および登録者証の所持者数は、調査開始時の1976年で128人だったものが、2016年には4万2,789人まで増加。近年は一定水準を推移し、2022年の所持数は5万184人と報告されています。

クローン病に関しても厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班」が2014年度に行った調査では、70,700人と、医療受給者証および登録者証の所持者数よりも多くの患者数が報告されています。

出典:厚生労働省 特定医療費(指定難病)受給者証所持者数、対象疾患・都道府県別・指定都市別(再掲)
厚生労働省衛生行政報告例(令和4年度末現在)

年齢や性別

IBDの好発年齢や性別差は、潰瘍性大腸炎とクローン病で少し異なります。
発症年齢については、潰瘍性大腸炎が20代を中心に小児から高齢者まで幅広い年齢層にみられるのに対し、クローン病は10代〜20代の若年層に集中しているという特徴があります。

男女比については、潰瘍性大腸炎の場合1:1で性別差はないと考えられていますが、クローン病は約2:1の割合で男性に多く発症するといわれています。

参考

難病情報センター(外部リンク)

「難治性炎症性腸疾患障害に関する調査研究 総括研究報告書(令和2年度)」

「潰瘍性大腸炎の皆さんへ知っておきたい治療に必要な基礎知識第4版」

「クローン病の皆さんへ知っておきたい治療に必要な基礎知識第4版」