公開:2026年6月
医療費負担を軽減するための支援制度について解説します。
公開:2026年6月
日本における難病対策は、1972年に「難病対策要綱」が策定されたことから始まります。具体的には、難病の実態把握や治療法の開発、患者さんの療養環境の改善が講じられるようになりました。これらは、要綱が策定されてからおよそ40年にわたり国の予算事業として行われ、当初は56疾患が医療費助成の対象となる特定疾患治療研究事業に指定されました。
しかし社会・経済状況が変化するなかで、増加傾向にある難病の患者さんに対し、「長期的な療養生活と社会生活を支えるための総合的な対策が不十分」、「疾患の対象範囲が狭く、難病の疾病間で支援の不公平感がある」などの課題が指摘されるようになりました。このような背景から、公平で安定的な医療費助成制度を確立させ、難病の患者さんの療養生活環境の向上をはかることを目的に、2015年1月に「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行されました。
難病法は、難病の患者さんへの良質・適切な医療の確保と療養生活の質の維持向上をはかることを目的とした法律です。難病法では難病のことを「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、その疾病にかかることにより長期にわたり療養を必要とすることとなるもの」と定義されています。
さらに、指定難病とは難病のうち、医療費助成の対象となる疾患のことです。指定難病は難病のうち、以下の要件をすべて満たし、その難病の患者さんが置かれている状況から、良質かつ適切な医療をはかる必要性が高いものとして、厚生科学審議会の意見を踏まえたうえで、厚生労働大臣が指定しています(図1)。
【図1】指定難病の要件
参考:厚生労働省「厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(第14回資料) 指定難病の要件について」をもとに作成
指定難病の検討は厚生科学審議会疾病対策部会の指定難病検討委員会を中心に、原則以下の手順に沿って行われます。
●指定難病の検討の進め方
| ① | 難病に関する基礎的な情報を、研究班等によって収集及び整理する |
|---|---|
| ② | 指定難病検討委員会にて、研究班等が整理した情報をもとに個々の疾病について、指定難病の各要件を満たすかどうかを検討する |
| ③ | 検討結果を、厚生科学審議会疾病対策部会に報告する |
| ④ | 疾病対策部会にて指定難病について審議し、具体的な病名などを検討する |
| ⑤ | 厚生労働大臣が指定難病を指定する |
| ⑥ | 厚生労働大臣による指定後も、研究を継続し、評価に影響を及ぼすような事実が明らかになった際は、指定難病検討委員会にて見直しを行う |
参考:厚生労働省「厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(第6回)資料 今後の指定難病の検討の進め方について」
難病は発症してから確定診断までに長期の時間を要することが多く、また確定診断後は長期の療養生活を送ることになるため、より身近な医療機関で適切な医療を受けることができる医療体制の確保が求められていました。これをうけ、厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会にて議論が行われ、2017年に「難病の医療提供体制の構築に係る手引き」が策定されました。
各都道府県は、この手引きに基づき順次、「難病診療連携拠点病院」、「難病診療分野別拠点病院」、「難病医療協力病院」を指定し、医療体制の整備が行われています(図2)。
【図2】難病医療提供体制のイメージ
参考:厚生労働省「難病の医療提供体制の在り方について(参考)」をもとに作成
難病の患者さんが、お住まいの地域で安⼼して療養しながら⽇々の⽣活を送るためには、福祉や就労支援など地域におけるサポートが不可欠です。難病の患者さんへの相談支援などを行う拠点として都道府県・指定都市に設置されているのが難病相談支援センターです。難病相談支援センターでは、電話や面談等により日常生活上の不安ごとや各種公的手続きに対する相談支援を受けられるほか、難病の患者さんが適切な就労支援サービスが受けられるように、ハローワークなどと連携した、就労サポートを⾏っています。
2024年4月1日から、指定難病の診断基準を満たしている方に対し、指定難病に罹患していることを証明する「登録者証」が発行されるようになりました。登録者証は自治体の障害福祉サービスの受給申請やハローワークなどで難病患者であることを証明する際に、医師の診断書代わりとして活用することができるため、これまでよりも、より円滑に福祉や就労に関する支援を受けることができます。