公開:2021年12月17日

icon

エキスパートインタビュー

IBDの治療やケアについて専門医にお話を伺います。

IBDと似た腸の病気

IBDでよくみられる症状として、腸の炎症による下痢や血便があります。しかし、IBD以外の病気でも同様の症状があらわれることは多く、それぞれの病気に適した治療を行うことが大切です。そのような「IBDに似た症状があらわれる腸の病気」について、千葉大学医学部附属病院の診療教授で内視鏡センター長の加藤 順 先生に教えていただきました。

千葉大学医学部附属病院
診療教授 内視鏡センター長

加藤 順 先生

(取材日時:2021年1月7日 取材場所:千葉大学医学部附属病院)

加藤 順 先生1

千葉大学医学部附属病院
診療教授 内視鏡センター長

加藤 順 先生

病気が悪化するパターンを知っておく

加藤 順 先生3

IBDという病気とは長い付き合いになりますから、感染性腸炎などほかの病気にかかることもあるでしょう。そういうときに慌てずに対処するためにも、自分の病気が「悪化するパターン」を知っておくことも大切だと思います。

潰瘍性大腸炎の患者さんのなかには、病状が悪くなるパターンというものを自覚している人がいます。たとえば、ある季節になると病状が悪化する、ある食べ物を食べると下痢がひどくなる、といったようなことです。時期によって悪化する場合、その時期は寒い時期、季節の変わり目、梅雨時など人によって異なります。「春先になると花粉症と一緒に腸も悪くなる」という患者さんもいました。何年かそういう病状の変化を経験すると、「この時期は具合が悪くなる」といったことがわかってきます。悪化する時期に、体調の変化を感じとったら、定期的な受診の予約日まで我慢しないで早めに受診し適切な治療を受けるなど、セルフマネジメントが可能となります。食べ物についてもそうで、どの食べ物を食べると下痢をするかは、患者さんによって異なります。ただ、それを患者さん自身が自覚することにより、体に合わない食べ物を避け、症状の悪化を未然に防ぐことができます。


IBDのような長く付き合う病気の場合、ずっと自分の体と向き合っている患者さんは自分の体のことも病気のことも、誰よりも(むしろ医者よりも)わかっている方が多いです。「私の場合はこのようなパターンで悪くなる」「この症状は悪くなるサイン」といったことに注意を払うことは、病気の状態を知り、悪化させないためにも大切なことです。

長年IBDの患者さんの診察をしてきた医師ならば、患者さんのお話をよく聞けば腸の中がどうなっているか想定することができます。ご自分では「こんなささいなこと」と思うようなことでも医師に伝えてください。私たちもしっかりと患者さんの声に耳を傾けますから、一緒に治療をしていきましょう。

加藤 順 先生3