潰瘍性大腸炎
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検査・診断

検査

潰瘍性大腸炎の検査

潰瘍性大腸炎を疑われる患者さんに行われる検査としては、問診や血液検査、便の検査、直腸X線検査、内視鏡検査があります。

潰瘍性大腸炎では、大腸の粘膜に炎症が起き、潰瘍やびらん(ただれ)が起こるので、最終的には、内視鏡検査の所見を検討し、その重症度を判定します。

Thomas de Lange、Stig Larsen、Lars Aabakken によるInter-observer agreement in theassessment of endoscopic findings in ulcerative colitis(BMC Gastroenterology 2004,4:9 doi: 10.1186/1471-230X-4-9 ; http://www.biomedcentral.com/1471-230X/4/9)から改変の上、転載。
Creative Commons Attribution License (http://creativecommons.org/licenses/by/2.0)に準拠して配布されている原典はオープンアクセス論文であり、この原典が適切に引用する場合、いかなるメディアにおいても使用、配布、複製が無制限に許可されている。

内視鏡検査による重症度は、次のような所見をみて総合的に判断します。

血管が透けて見えるか:内視鏡検査で大腸粘膜の下の血管は、炎症があると透けて見えなくなる。
易出血があるか:内視鏡検査で大腸内を内視鏡が触れるなどわずかな刺激でも炎症により大腸粘膜がもろくなっていると出血しやすい。
粘膜が赤いか:炎症があると粘膜が赤くなる。
粘膜に細顆粒状になっているか:炎症があると腸粘膜が細かい粒状になり、ざらざらしている状態になる。
膿性粘液があるか:炎症に伴って生じる膿がまじった粘液。大腸の壁に付着する。
粘膜が腫れているか:炎症があると粘膜が腫れたりむくんだりする。

潰瘍性大腸炎の定期検査

治療の効果をみるために、定期的な検査が必要です。寛解期(症状が軽い状態)を長期間続けるためには、自覚症状がなくても定期的に検査を受けて、炎症の程度や腸の状態を把握しておく必要があります。検査は治療の一環なのです。検査には、血液検査やエコー(超音波)検査、X線検査、内視鏡検査などがあります。

血液検査は、寛解の状態を確認したり、再燃や合併症の発生を早期に発見したりするために行われます。血液検査では、以下のような項目が調べられます。

【炎症の程度をみる検査】

【栄養状態をみる検査】

【貧血の程度をみる検査】

血液検査以外にも、腸の中での病変の位置や状態をみるために、さまざまな検査を行います。

検査のなかには、心身への負担があるものもあります。しかしながら病気の状態を正確に把握して、それに応じた治療を行うことで寛解期を維持し、合併症の早期発見するためには、定期的に検査を受けることが求められます。

診断

潰瘍性大腸炎の診断基準

潰瘍性大腸炎の正確な定義は「主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症」です。

この病気の診断基準は、厚生労働省の研究班によって、1974年に最初のものが作成されました。その後、改訂が重ねられて使われています。

下記の表のように、a)の臨床症状に該当し、b)の内視鏡的検査もしくが注腸X線検査の結果、1項目を満たし、およびc)の生検組織学的検査を満たし、さらに除外すべき疾患ではないことが認められた場合は、潰瘍性大腸炎の確診となります。

[出典]難病情報センターホームページ(2015年3月現在)から引用

重要なことは、血液や便の検査結果だけでは確定診断の根拠にはならない、ということです。臨床症状や病歴、内視鏡初見、直腸X線検査などを参考に、よく似た症状を起こす病気と区別する必要があります。

クローン病との鑑別

潰瘍性大腸炎の確定診断のためには、同じIBD(炎症性腸疾患)であり、下痢、腹痛など症状も似ているクローン病との鑑別が重要になります。

潰瘍性大腸炎とクローン病の症状は似ていますが、発症頻度が異なるものもあります。たとえば、潰瘍性大腸炎では下痢・軟便、血便が主症状ですが、クローン病ではそれほど多くなく、全身倦怠感は多くのクローン病の患者さんが訴える症状であるが、潰瘍性大腸炎の患者さんではそれほどではないなどの違いがあります。

内視鏡検査では、病変の違いがより明確にみられます。潰瘍性大腸炎では、病変は大腸に限られて、直腸から連続的に生じます。一方、クローン病ではすべての消化管で病変が生じる可能性がありますが、クローン病の病変は連続的に生じるとは限りません。

病態の分類

●病変の範囲による分類

潰瘍性大腸炎は複雑な病気で、患者さんによって病気の状態はさまざまです。この病気は直腸から始まって、連続的に奥へと広がっていきます。その広がり方によって、次の4つのタイプに分けられます。ただし、炎症が進行して病変の範囲が広がったり、逆に炎症が治まって病変の範囲が小さくなったりすることもあります。その場合、病変の範囲による分類も変化します。

[参考]福島恒男 編集『IBDチーム医療ハンドブック 第2版』(2012年 文光堂)98頁 図1


●病期による分類

病期(炎症の状態)によって分けることもできます。潰瘍性大腸炎には、炎症が活発な「活動期」と、炎症がおさまっている「寛解期」とに分類されます。血便の有無と大腸内視鏡検査で得られた腸管内の様子を診て判断します。

●臨床経過による分類

臨床経過によって分けることもできます。このなかで、最も多いのは、「再燃寛解型」です。

●国内における重症度分類

検査の結果から病気の重症度を分けることもできます。治療を決定するためには、排便の回数や粘血便の頻度、発熱の度合いなどから、重症度をみることになります。重症度に応じて、治療方針が決められます。

排便回数、顕血便の項目に当てはまり、なおかつ発熱もしくは頻脈のいずれかを満たし、さらに6項目のうち4項目以上に該当する場合、重症と分類されます。軽症は、6項目すべてを満たすことにします。重症にも軽症にも当てはまらない中間に位置するものを中等症といいます。

重症のなかでもとくに症状が激しい場合を激症となります。激症の診断基準は以下の5項目をすべて満たすことになります。

[出典]難病情報センターホームページ(2015年3月現在)から引用

活動指数による評価

最近では、排便の回数や直腸出血の頻度などを使って病期を評価・分類する「活動指数」も使われています。

活動指数の一つである「Mayo Score(メイヨースコア)」では、排便回数が寛解期に比べてどの程度増えているか、直腸からの出血はあるか、内視鏡による大腸の所見、そして、医師による全般評価という4項目で、それぞれに4段階(0~3点)でスコアを付け、その合計(0~12点)で評価します。3~5点であれば軽度、6~10点であれば中等度、11~12点であれば重度と評価されます。

そのほか「Sutherland Index」、「Rachmilewits Index」、「Lichtiger Index」などが知られています。それぞれに特徴があり、医師は個々の考え方や場合によって、これらを使い分けています。

また、これらの指標は、治験など薬の効果を評価することにも使われています。