クローン病 Chrohn's disease
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検査・診断

検査

クローン病の検査

クローン病を疑われる患者さんに行われる検査としては、問診や血液検査、便の検査、X線検査、内視鏡検査があります。

とくに内視鏡検査の所見が重要です。腸に縦長の潰瘍ができる「縦走潰瘍」や、潰瘍によって囲まれた腸の粘膜が盛り上がってできる「敷石像」、円形または楕円形の浅い潰瘍「アフタ」、小さな潰瘍の形の方向性がない「不整形潰瘍」などが見られる場合には、クローン病が強く疑われます。

【出典】

(1)(2)『クローン病の診療ガイド』日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編集
             (2013年 文光堂)17頁 図1、図3
(3)『病気がみえるvol.1消化器』医療情報科学研究所 編集
       (2010年 メディックメディア)104頁
(4)『炎症性腸疾患を日常診断で診る』日比紀文、久松理一 企画(2010年 羊土社)
        61頁 図15

治療の効果をみるためには、定期的な検査が必要です。寛解期(症状が軽い状態)を長期間続けるためには、自覚症状がなくても定期的に検査を受けて、炎症の程度や腸の状態を把握しておく必要があります。

クローン病の定期検査

定期検査には、血液検査やエコー(超音波)検査、X線検査、内視鏡検査などがあります。

血液検査は、寛解の状態を確認したり、再燃や合併症の発生を早期に発見したりするために行われます。血液検査では、以下のような項目が調べられます。

【炎症の程度をみる検査】

【栄養状態をみる検査】

【貧血の程度をみる検査】

血液検査以外にも、腸の中での病変の位置や状態をみるために、さまざまな検査を行います。

病気の状態を正確に把握して、それに応じた治療を行うことで寛解期を維持し、合併症の早期発見するためには、定期的に検査を受けることが求められます。

カプセル内視鏡

小腸は内視鏡による観察が難しいとされてきました。しかしながら、2012年からクローン病の患者さんにもカプセル型の内視鏡が保険適用されることになりました。

小腸用カプセル内視鏡は、超小型カメラを内蔵しています。検査を受ける患者さんはこれを適量の水で飲みます。カプセルは消化管を通りながら、腸管内の画像を腰に装着した記録装置に記録していきます。検査は約8時間をかけて終了します。その間、病院にいる必要はなく、家や職場に戻って通常の生活を送ることができます。ただし、さまざまな注意点がありますので、医師の説明をよく聞き、守るようにしてください。

消化管に狭窄がある場合は、事前に消化管開通性確認用カプセル(パテンシーカプセル)を使って、カプセル内視鏡が消化管を問題なく通過できるかどうかの確認を行う必要があります。パテンシーカプセルを飲みこんでから30時間以内に排出され、なおかつカプセルが原形を留めていれば、「開通性がある」と判断されます。また、排出されない場合でもX線検査を行い、カプセルが大腸まで原形のまま到達していることが認められれば、「開通性がある」と判断されます。パテンシーカプセルは、飲みこんだ後30時間を過ぎれば溶け始める崩壊性になっています。

診断

クローン病の診断基準

クローン病の診断基準には、厚生省(現 厚生労働省)の研究班が作成したものがあり、改訂を重ねて使われています。

現在では、内視鏡検査の結果、「主要所見」としての「縦走潰瘍」や「敷石像」だけでなく、「副所見」としての「アフタ」や「肛門病変」をともに検討することによって、診断を確定することになっています。

クローン病と確定診断されるのは、次の場合となります。

[1]

主要所見のA、またはBを有するもの。
(縦走潰瘍の場合は、虚血性腸病変や潰瘍性大腸炎の可能性を除外し、敷石像の場合は、虚血性腸病変の可能性を除外します)

[2]

主要所見のCと副所見aまたはbを有するもの。

[3]

副所見のa、b、cすべてを有するもの。

以下の場合は、クローン病が強く疑われます。

[1]

主要所見のCと副所見のcを有するもの。

[2]

主要所見のAまたはBを有するが、潰瘍性大腸炎や腸型ベーチェット病、単純性潰瘍、虚血性腸病変と鑑別ができないもの。

[3]

主要所見のCのみを有するもの。
(腸結核などの肉芽腫を有する炎症性疾患を除外することが必要です)

[4]

副所見のいずれか2つまたは1つを有するもの。

また、クローン病と診断された場合は、次の基準にしたがって重症度の分類がなされています。

CDAI(Crohn's Disease Activity Index)は、世界的に広く使われている重症度の評価。詳しくは「活動指数による評価 」を参照してください。



【出典】難病情報センターホームページ(2015年3月現在)から引用

潰瘍性大腸炎との鑑別診断

クローン病の診断においては、同じIBD(炎症性腸疾患)であり、下痢、腹痛など症状も似ている潰瘍性大腸炎との鑑別が重要になります。

症状としては、たとえば、潰瘍性大腸炎では血のまざった下痢は主症状ですが、クローン病ではそれほど多くない、などの違いがみられます。

内視鏡検査では、病変の違いがより明確にみられます。たとえば潰瘍性大腸炎では、病変は大腸に限られて、直腸から連続的に生じます。一方、クローン病ではすべての消化管で病変が生じる可能性がありますが、クローン病の病変は連続的に生じるとは限りません。

病態の分類

クローン病は複雑な病気で、患者さんによって病気の状態はさまざまです。

●病変の範囲による分類

ただし、主病変がない場合やまれな部位にのみ病変がある場合など、上記の3つのタイプに分類されないものは【特殊型】となります。

●病態による分類

病態(病気の状態)によって分類することもあります。狭窄が起きているものを「狭窄型」、腸管に穴ができている場合を「瘻孔形成型」、炎症が起きているものを「炎症型」と呼びます。

活動指数による評価

治療方法の選択や、治療効果を判定したりする際の基準として、この病気を「活動性」によって分類する指標があります。

たとえば「CDAI(Crohn's disease activity index)」と呼ばれる指標は、もともと治療薬の有効性を評価するために開発されたものですが、治療法の選択のうえでも使われています。

CDAIは8つの項目を組み合わせて点数化しますが、計算方法は複雑です。また、便回数や腹痛、一般状態といった臨床症状に対しては、7日間にわたって患者さんが記録する必要があります。臨床症状のほかには、体重、症状や合併症の所見、腹部腫瘤、下痢に対する薬剤使用回数、血液検査の結果などを医師が判断し、計算して点数を導きます。導かれた点数は、一般的に150点未満を寛解とし、150~450点を活動期、451点以上を重症活動期とします。

このCDAIを簡便化したものに「simple CDAI」があります。CDAIでは1週間の臨床症状をみなければなりませんが、simple CDAIは1日の臨床症状に基づき評価をします。

ほかには、「IOIBD score」があります。下記の10項目のうち該当したものを1点とし合計点を導きます。こちらは厚生労働省の研究班による判定基準として、1点までで、さらに赤沈、CRP(C反応性タンパク)が正常値であれば寛解とし、2点以上で赤沈、CRPの値が正常値を超えている場合、再燃とします。ただし、これは自己判断できるものではありませんので、医師の診断を仰いでください。

[参考文献] 日本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編集『クローン病の診療ガイド』
(2013年 文光堂)、9頁 表3(改変)、表5